寝具を変えても疲れが抜けないのはなぜか──回復を左右する“睡眠中の血流メカニズム
翌朝のコンディションは “睡眠中の血流” でほぼ決まる
朝が重いと、多くの人がまず行うのは、
枕を変える/マットレスを買い替える/睡眠アプリを入れる といった
“外側の快適さ” の調整です。
しかし、それでは回復しない人が一定数います。
なぜか。
それは 睡眠の快適さ“ではなく”、睡眠中の体内循環(=血流)が回復を決めている からです。
同じ時間寝ても
軽く起きられる日/だるく起きる日 がある理由は、
外側だけではなく眠っている間に、体の中で起きていたことが違うからです。
■ この記事について
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誤解されやすいポイント
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本質のメカニズム(血流 × 酸素 × 栄養)
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継続の意味(2〜3ヶ月の変化)
【① 誤解されやすいポイント】
多くの人は「睡眠=回復」と理解していますが、
実際には 睡眠中に代謝・修復作業が“進む条件” が整ったときにのみ回復が起きる だけです。
その条件とは 血流。
ここを誤解すると、枕や寝具をいくら変えても回復が起きません。
誤解①:睡眠の質を上げれば回復する
寝具・入浴・アロマ・アプリは“快適さ”の領域。
しかし、
血流が悪ければ、どれだけ熟睡しても栄養は届かない。
誤解②:疲れが残る=寝不足
睡眠時間を伸ばしても変わらない人がいる理由は、
“細胞の修復に必要な酸素と栄養が届いていない” から。
誤解③:栄養は単体で効く
栄養は連鎖で働く。
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血管が開く(アルギニン)
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酸素が運ばれる(鉄)
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修復酵素が働く(ビタミン・ミネラル)
この連鎖が揃って初めて回復が成立する。
【③ 本質のメカニズム】
回復は 供給 × 排出 の循環で成立します。
そのどちらも 血流 が重要です。
A:酸素と栄養の供給
① アルギニン(血管拡張)
NOを作り、
→ 血管を開く → 流れを良くする
② ビタミン・ミネラル(代謝・修復)
細胞を修復する酵素群。
不足すると回復の作業が途中で止まる。
③ 鉄(酸素運搬)
血が巡っても、
鉄が不足していると
→ 酸素が運べない=作業が進まない
流れで見ていくと、こうなります。

血管が開く → 酸素が届く → 栄養が代謝される → 細胞が修復される → 翌朝が軽い
「代謝=回復」
とは、まさにこの連鎖です。
B:老廃物の排出
代謝が進むと炎症物質・乳酸・酸化ストレスなどの副産物が生まれ、それらの排出も血流が担っています。
血流が悪いと、
・炎症物質
体を修復するときに出る物質。
増えすぎると だるさや疲れが残りやすくなる。
・乳酸
酸素が不足したときに溜まりやすい疲労物質。
血流が悪いと流れず、重だるさの原因 に。
・酸化ストレス
体が“サビつく”ような現象。
細胞の老化や疲れやすさにつながる。
これらが残り、
「朝のだるさ」として自覚される。
【④ 変化が出るまでの“体のタイムライン”】
血流改善は“一晩では起きない”。
血管・内皮細胞・ミトコンドリアが代謝するには 2〜3ヶ月 必要です。
🔷なぜ時間がかかるのか?
① 血管内皮細胞は入れ替わりが遅い
新しい細胞ほど血管が開きやすい。
② ミトコンドリアの改善は1〜2ヶ月スパン
修復・代謝の根本。
③ 毛細血管は細くて流れが弱く、ダメージも受けやすい“繊細な血管
だからこそ、元気な状態に戻すには時間をかけて整える必要があります。
そして、血流が改善したとしても、
細い血管では流れる量に限界があるため、
変化はどうしても“緩やかに積み重なる”形になります。
🔷 期間ごとの体感変化

短期(1〜7日)
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温まりやすさ
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むくみの変化
中期(1〜2ヶ月)
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朝の軽さが「安定して」増える
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疲れの抜けるスピードが改善
長期(3ヶ月〜)
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回復力の底上げ
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疲れにくい体
【⑤ まとめ】
翌朝のコンディションは“睡眠中の血流”でほぼ決まる。
血流が整えば、酸素が届き、栄養が代謝され、老廃物が排出される。
寝具ではなく、睡眠中の体内循環こそが回復の本質。
もちろん寝具の見直しも大切ですが、
翌朝のコンディションを根本から変えるのは、
眠っているあいだの “血流と体内循環” が整っているかどうか。
外側と内側の両方を整えてこそ、本当の回復につながります。